すべての人が平等に生きることは、難しい
2004.07.16
ミラクル勝

 今、社内外注という聞きなれない就業形態で仕事をしていますが、色々今まで
に体験したことの無い経験をして、色々考えることが出てきました。
 社内外注は、派遣会社や業務請負会社とも違う形になるようです。
 僕が入社した会社の業務案内には、業務請負の項目が入っています。
 しかし、この社内外注というシステム、妙なところがあります。
 就業先の会社では、社内外注社員という言い方をするので、正社員のように思
えるのですが、年金や健康保険に会社が加入していないので、アルバイトとの違
いが分かり辛いです。
 一応、雇用保険と労災には、加入しています。
 でも、ボーナスないし、有給休暇なんて無いような感じの会社です。
 給料明細も、催促しないともらえないし。
 時間外勤務時間の合計が給料明細に無いので、残業の単価が合っているのか確
かめることができません。
 勤務先の正社員は、残業時間に制限があり、超過する場合は、申請をしないと
いけません。
 でも、社内外注は、残業時間に制限がないので、一日2時間残業までと一応決
まっているのですが、忙しいときは、それ以上の残業を行うことがあります。
 土曜日の休日出勤も社員は、制限がありますが、社内外注は事実上制限が無い
ので、最大一ヶ月に4回出勤できます。
 このように、お金になる勤務形態なのかもしれません。
 実際、夜勤のある交代勤務の給料と同じくらいの金額が、残業80時間近く行
うと、もらえます。
 でも、社員の中には、自分達よりも福利厚生の面で劣る点があったりすること
もあり、社内外注は、正社員よりも格下という雰囲気が漂っている人がいます。
 そういう人は、社内外注の人のウイークポイントをいじって、からかったりし
ています。
 自分よりも、立場の弱い者を確保できると、優越感に浸ることができるのかも
知れません。
 これは、極端な例なのかもしれませんが、どの職場でも、ちょっと仕事が遅か
ったり、失敗することが多い人、貧乏な人、俗に言う人生の負け組と称する人達
に対して、からかったり、いじめたりすることがあると思います。
 
 今日、つくづく人間が生きていくためには、こうしたある種の上下関係が必要
なのかなと思いました。
 
 過去に人類は、奴隷制度というものを作ったり、身分で上下を決め、就業でき
る仕事の内容や結婚できる家柄などに制限を与えたことがあります。
 これも、広い意味では、強い者が弱い者を支配したいという欲求から生まれた
ことなのではと思います。
 
 昨今人生の勝ち組み、負け組みと称して語るメディアがありますが、人生は、
他人との競争のためにあるものでは、ありません。
 自分が生きるために、あるものです。
 だから、他人と競争しようにも、その基準、尺度は、存在しないはずです。
 彼氏彼女が居ない、年収が少ない、結婚していない、持ち家ではなく賃貸の
まま、乗っている車が高級車でないなど色々他人との比較してしまう事柄は、
確かに存在します。
 でも、それが他人と異なったからといって、一言で負け組みとして片付けてし
まっていいのでしょうか。
 人間の命は、万人同じ価値で、地球よりも重いという人もいるくらいです。
 だから、勝ち組、負け組と二つのグループに分けてしまうことは、人間同士の
差別や偏見に繋がり、ある種の上下関係が生まれ、支配関係になると思います。
 
 人類は、確かにみな平等です。
 心の面、存在意味など精神論では、確かに平等です。
 でも、経済活動に対しては、どうしても格差が生じてしまいます。
 また、これに関連して、病気の家族を抱えての介護生活や化学物質過敏症など
で長距離通勤を余儀なくされている人など、仕事をしていても経済的に精神的に
大変な人達のことも、考えなくてはいけません。

 どういうことかというと、経済格差が広がってきたからといって、すべての人
を救済することは出来ないけれど、先に書いたように、何らかの事情がある人に
ついては、国が支援をするべきです。
 人生負け組みと言われる人の中には、低い賃金で長時間労働をしている人もい
ると思います。
 その人達すべてを救済することはできないけれど、今置かれいる状況の中でも
人間として尊厳を持って幸福を感じることができる生活環境を実現することは、
国会議員に求められる責務のひとつではないかと考えます。
 そのような取り組みをすれば、いろいろな事が連鎖して好転して少子化問題や
雇用問題などを改善できることになると思います。
 
 自分が遊んで人生を潰してしまった人は、論外で救済されなくて当然ですが、
自分の意に反した立場に置かれてしまった人達に対しては、何らかの支援が行わ
れてほしいと思います。
 これも、福祉の考え方のひとつだと思います。
 
 今恵まれない環境に生きている人も、その環境で諦めないで他人と競争するの
ではなく、自分が納得できる人生を送れるように努力する必要があります。
 経済的な面では格差があっても、人間として尊厳をもって幸福感を感じられる
生活。
 そのような生活ができてこそ、初めて自分の人生が自分自身納得できるものに
なります。
 人生は、他人と競争する尺度では、ありません。
 人を支配する道具でも、ありません。
 人の生き様で、支配関係を作っては、いけません。
 形を変えた奴隷制度が、始まってしまいます。
 
 すべての人が、平等に生きることは、難しい。
 でも、平等に生きることが出来るように努力することは、出来ると思います。
 経済格差が広がったとしても、それが全てではないから。


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